最初はただフラれただけの話かと思ったら、まさかの誕生日サプライズ地獄に巻き込まれていく展開にびっくり。どんどん人が増えて、祝福が恐怖に変わっていく感じが不気味だけど面白かった。太田の「なんで?」っていう戸惑いがリアルで、自分が同じ立場だったら発狂しそう。笑えるのにちょっと怖い、不思議な読後感のある話でした。
お誕生日、おめでとうございます!
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(260文字)
起きたのは、主人公か、出来事か。
不条理が振り切っている。すごかったです。
主人公の太田は誕生日の前日女性に振られる。その女性に対し、太田は小説の最初と最後に「あ、はい」と同じ返事をする。この二回目の「あ、はい」で笑った。ちょっと「ざまぁ」の快感があった。状況は筒井康隆っぽいがキャラはつげ義春みたいだと思った。つげの描くキャラも常に受け身だがなぜかいい目を見る。といっても太田ほどではないが。ひさしぶりにナンセンスを読んで楽しかった。初期の諸星大二郎が好きなかたにおすすめします。
本作は現代日本を舞台として、主人公の誕生日をユーモラスに描いた作品です。前日に彼女に振られるという最悪のスタートを切った彼ですが、誕生日を迎えるやいなや、あれよあれよという間に周りから祝福の嵐を受けます。果たして、彼の誕生日はどこに向かっていくのか、謎が謎を呼ぶ展開が続きます。
ありありとリアルに綴られる冒頭から、巧みな表現力でグイグイ惹き込まれてゆきます。誕生日にとんでもない目に合う話、とのキャッチコピーからの想像を遥かに超えていく痛快さに、病みつきになりそうです。
主人公の太田くんが彼女に振られたことをきっかけに、彼のまわりに奇妙な現象が巻き起こる…ザ・不条理な作風。好きです。最後まで不気味です。おすすめです。
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