賞金総額1000万円&商業化作品数日本No.1!記念すべき第10回、過去最多の10部門KADOKAWA主催の国内最大の小説コンテスト
12,449 作品
中納言の姫でありながら、母を亡くし寂しい暮らしを余儀なくされていた二の姫・楓子。ある夜、今上帝に入内した腹違いの妹姫・桜子の病の祈祷に呼ばれた陰陽師・賀茂利憲と出会う。彼は中納言邸に巣食う蠱毒の妖を祓い、女御である桜子にあいたいと願う楓子を中納言邸から攫った。
利憲の指示で男装し楓と名乗って陰陽生として出仕する彼女は、桜子の警備を任された左近少将・斉彬と仕事をすることになる。何者かに呪殺されんとしている桜子を守ろうと、楓子は利憲・斉彬と共に調査をするが……。
悲運の姫の平安陰陽奇譚、二人の男性に挟まれた異能を持つ姫の行く末はいかに——。
才能に恵まれ過ぎた極悪貴族が、油断も慢心もせず、謙虚堅実に努力したら
ホロウ・フォン・ハイゼンベルクは、超大作RPG『ロンゾルキア』に登場する悪役貴族だ。
剣術・魔法・学問、あらゆる才能に恵まれた天才だが……その性格は、怠惰にして傲慢。
自らの才能に溺れ、努力を怠ったがゆえ、主人公に敗北する――だけに留まらない。ホロウはあらゆるルートで死亡する、破滅エンドが約束された『歩く死亡フラグ』。
ボクはよりにもよって、そんな悪役貴族に転生してしまった。
「このままでは破滅する……っ。予定調和の運命、『シナリオ』に殺される……ッ」
……いや、そうはいくものか!
ボクだけが知っている原作知識を活用し、謙虚堅実に努力を重ね、悲惨な破滅エンドを回避してやる!
カクヨムコンテスト10「異世界冒険部門」、非常に多くの魅力的な作品を拝見させていただきました。
個性的なキャラクターや独自の設定、練り込まれた世界観を武器に、それぞれの作者様が自由な発想で物語を紡いでおり、まさに多彩な才能の競演となりました。
その中で大賞に選ばれた 『世界最強の極悪貴族は、謙虚堅実に努力する ~原作知識と固有魔法<虚空>を駆使して、破滅エンドを回避します~』 は、異世界ファンタジーとしての爽快なテンポ感と、緻密なキャラクター描写・世界設定・伏線の巧みな回収を高い次元で両立した作品です。
序盤から魅力的なキャラたちが生き生きと動き、シリアスな展開と緩急ある日常パートがバランスよく配置されており、読み進めるほどに物語・キャラへの愛着が深まる作品になっていました。
また、魔法や戦闘の描写にも説得力があり、設定の積み重ねが自然と物語の推進力につながっている点も秀逸でした。
王道でありながら、細部の工夫とキャラクターの丁寧な掘り下げによって、唯一無二の読み味に仕上がっている本作。今後ますます読者層を広げていくであろう、完成度の高い一作として、大賞にふさわしい作品であると確信しております。
電撃文庫編集部
成り上がってくれた教え子達が、戻ってきて俺の補佐を希望するんだが
転生者であるエンディはチート能力を持ちながらも中途半端な強さで成長限界を迎え、冒険者としての未来に不安を感じていた。
金と暇をこよなく愛する彼はセカンドライフとして教室を開き、指導した生徒に金を入れてもらおうと考えた。
見切り発車した彼の教室だったが、計画は順調。教室を卒業した生徒は世界的な強者へと成長し、金銭を送ってくれるように。
完璧なセカンドライフが送れている、そうエンディは思っていたが……
「先生の元で教育者をさせてください。あ、家事全般もお任せください」
「エンデー、ただいま。私、またここ住む」
「お二人はわたくしにお任せください。師匠様はごゆっくりどうぞ……」
一度は世界で活躍した教え子たちは、次々と教室へ戻ってきて彼の補佐を希望。
エンディの完璧な計画は、こうして狂っていくことになる。
今年より新設された異世界ライフ部門では、読み手を思わず異世界に誘うような「生き方」が目白押し。モフモフと戯れる生活も良し、喫茶店のマスターとしての穏やかな暮らしもまた良し……と、非常に悩ましい選考となりました。
多くの素晴らしい作品の中で、『転生凡人の英雄作成教室~冒険者として限界を迎えた俺、仕方なく今後のための金稼ぎ目的で田舎に教室開いたら、教え子が最強になった~』は、主人公・エンディが、悠々自適なセカンドライフのために仕送りを期待して金の卵を育て上げていくという筋書きです。
パーティーでは役立たずと見なされていたイヴや、魔法の才能は全くないと家族から見放されていたムゥといった一癖も二癖もある問題児たちを、一見変わった指導方法で教え導いていくエンディ。この師弟が絆を育んでいく過程が丁寧に描かれており、問題を解決して無事“卒業”に至るまでのカタルシスの引き出し方は見事でした。
指導に対しては非常に真摯に取り組むエンディを始めとして、個性と潜在能力の塊である教え子達は魅力的なキャラクターに溢れており、教え子1人1人との間に起こるドラマティックな展開や奥行きのある世界観など、高い水準でまとまった総合力の高いエンタメ作品として、本作を大賞に推薦いたしました。
次回以降も読み手をワクワクドキドキさせるような“新しい物語”と出会えることを心より楽しみにお待ちしております。
ファンタジア文庫編集部
該当なし
「魔法のiらんど部門」は、「魔法のiらんど」がカクヨムと合併してひとつのサービスとなることを記念して設けました。「魔法のiらんど」で親しまれた恋愛・ラブコメ、BLといったテーマで募集し、581件もの応募がありました。
作品の傾向としては、タイムリープや学園などの王道的な設定をベースにしつつも、読者の心を揺さぶるような切なさや共感を誘う恋の葛藤など、登場人物の感情を丁寧に描いたバラエティに富んだ作品が集まりました。
大賞こそ今回出ませんでしたが、応募作品の中から特に優れた魅力を持つ一作として『おまえだけは選ばない』をこの部門の特別賞およびコミカライズ賞として選出いたします。
次回のコンテストでも、多くの新たな才能と出会えることを楽しみにしています。読者の心に響く、熱量のある恋愛ストーリーを今後ともお待ちしております。
カクヨムコンテスト10 選考委員一同
「君との婚約を破棄する」冷たくなった婚約者に悩むヴィクトリアが見た夢は、”舞踏会で断罪される自分”の乙女ゲーム。「当て馬令嬢に転生してしまった…」恋心は投げ捨てて、目指すは婚約解消、断罪回避! 真実の愛? 勝手に育んで.。チートはないのでヒロインの魔法を拝借。冒険者の知り合いができて逃亡準備が捗ります。”円満”に結婚させようとする王妃や父公爵をかわしながら、金策に体力作りと奔走する毎日の中。友達もできてようやく学院生活が楽しくなってきたところに、塩対応だった王太子がなぜか距離を詰めようとしてきて。断罪されるのは困るので、近寄ってこないでください。
この度は、「ファンタジー恋愛」部門に多数のご応募ありがとうございました! 個性豊かなキャラクターたちが織りなす、時には甘く、時には切ない様々な恋愛模様はどれも素晴らしく、楽しく拝読させていただきました。
その中で今回見事に大賞を獲得した「恋とはどんなものかしら ~当て馬令嬢の場合~」は、前世で好きだった乙女ゲームの当て馬キャラクターである公爵令嬢・ヴィクトリアに転生した主人公が、王太子との婚約破棄という未来を回避し、自らの手で明るい未来を切り開こうと奮闘する物語です。
作中にある「よし、明るい未来に向かって、頑張るぞ!」という主人公・ヴィクトリアの言葉が象徴するように、彼女は婚約者である王太子に顧みられない不遇な状況に置かれながらも、冒険者シグルドとの出会いをきっかけに商売を始めたり、剣の訓練をはじめたりと学院生活を楽しんでいきます。
努力や真摯な気持ちが必ずしも報われるとは限らない。
そんな現代社会においても共感を呼ぶ葛藤を抱えながら、前向きに生きるヴィクトリアの姿は非常に魅力的であり、多くの読者が彼女に感情移入し、勇気づけられるだろうと感じ、今回大賞に推薦させていただきました。
今回は本作を大賞に選ばせていただきましたが、他にも多くの魅力的な作品がありました。
今後とも、読者の皆様が思わず感情移入し、胸がときめいたり、前向きな気持ちになったり、心が揺さぶられるような素晴らしい作品との出会いを楽しみにしております。
メディアワークス文庫編集部
今回は従来の作品に加え、モキュメンタリ―も多くあったカクヨムコンの「ホラー部門」。数ある作品の中でも圧倒的なリーダビリティで、時間を忘れてラストまで一気に読み終えたのが、「三重県津市西区平山町3-15-7」でした。
一見「ありそう」と思う地名ですが、実はこれは「あるはずのない場所」。一方で、作品の序盤に提示されるのは、掲示板や法律相談、新聞、雑誌の誌面など、「ありそうなもの」ばかり。けれどそれらが差し示すのは、タイトルでもある「あるはずのない場所」なのです。
そこには一体なにがあるのか。それを探求する人物の登場により、読み手は濁流に呑まれるように一気に物語に巻き込まれていきます。そしてたどり着いた先に見えたのは、読む人の立場によって大きく感想が変わるかもしれない光景でした。
「あなたは一体どう思った?」編集部の皆に聞きたい気持ちでいっぱいになり、ひいては世の中の皆さんに聞いてみたいと思い、本作を大賞に推させて頂きました。
ホラー作品にとっての大敵は「これはきっと現実にはない」という白々とした気づきが、読者に訪れる瞬間であろうと思います。虚実のはざま、薄暗さの中で感じる「ありそう」なものというのは、現実を生きる私たちにとって何よりも怖いものに成り得るのかもしれません。「あるはずのない」「ありそうなもの」を描くホラー作品を、また読ませて頂くことを楽しみにしております。
角川文庫キャラクター文芸編集部
該当なし
SF・ミステリー・歴史など多様なジャンルを受け入れる部門ということもあり、今回も幅広い作品が寄せられました。戦国時代への転生やVTuberを題材とする作品などを中心に、トレンドを反映したものから独自の世界観を構築した意欲作まで、読者を楽しませるエンターテインメント性の高い作品が多数見受けられました。
一方で、エンタメ総合部門はジャンルの幅が広いために、作品の方向性や主眼が多岐にわたり、選考においては編集部の求める作品像とのギャップが生じる場面もありました。
その結果、残念ながら今回は大賞・特別賞ともに該当作なしという結果となりました。
今回も、ジャンルの壁を越えてストーリーを届けようという情熱にあふれる多くの作品をご応募いただき、誠にありがとうございました。次回も、新たな作品との出会いを心より楽しみにしております。
カクヨムコンテスト10 選考委員一同
「ど……どうもー……。最底辺の人間音痴よろしくミジンコでーす……」
楢木野ラクナ、16歳。
子供の頃からどうも人間が苦手な彼女は、ずっとひとりぼっちで過ごしていた。
でも、友達は欲しい。
そんな彼女は11歳の時、友達を作るために探索者を目指そうと一念発起。
ぼっちなので人知れず洞穴で日々の特訓を開始する。
しかし、その洞穴は『奈落』と呼ばれる難易度特級のダンジョンだったようで……。
そんなことも知らずに、五年の月日が経ち。
16歳となった彼女は速攻で探索者ライセンスを取得。
自分が奈落で特訓していたとは知らずに初配信を始めたら、その規格外の強さで早速バズり散らかすことに……。
これは、陰キャで引っ込み思案な少女が、ひとりの探索者として成長するお話。
そして、誰にも必要とされなかった少女が、弱き者を助け、危険から守り。
いつか英雄と呼ばれるまでの物語。
カクヨムコンテスト10現代ファンタジー部門には、現代社会と異能、ダンジョンなどの要素を融合させた意欲作が多く集まりました。読者に「本当にありそう」と思わせる設定の説得力と、キャラクターの等身大の悩みに寄り添った物語が印象的で、読者との「共感」を重視した物語構築が目立った印象です。
大賞に選ばれた『超難度ダンジョン『奈落』をただの洞穴と勘違いして特訓していた結果、規格外の化け物が生まれました。~モンスターより人間が怖い陰キャですが配信者としてがんばります!』は、その点において特に秀でていました。主人公であるラクナの「陰キャ」「コミュ障」という特性を丁寧に描きつつ、その不器用さに対比する圧倒的な戦闘力というギャップを活かした展開は、読後に強い印象を残します。ただそれだけでなく、主人公を見守るダンジョン配信の視聴者=読者という構図をストーリーに取り込んでいることで、読者自身が物語に参加しているような感覚が生まれ、読み進める楽しさが増幅されていました。強烈なキャラ性と没入感の両立がなされており、文句なしの完成度に感じています。
現代ファンタジーはまだまだ拡張可能なジャンルです。次回以降も、様々な挑戦にあふれた皆さんの作品を心よりお待ちしています。
電撃文庫編集部
俺に触れると……飛ぶぜ? と、とんじゃう〜っっっ!♡♡♡♡♡♡♡♡♡
世界にダンジョンが発生し、人類にレベルの概念が産まれた。
しかし、レベルの概念があるのは女性だけ。
男達にはレベルは無いが、代わりに体の何処かに数値を表す痣のような物が浮かびあがった。
百だったり、千だったり、はたまた一であったり。
しばらく謎だったその数値の謎がついに判明した。
その数値は……経験値。
そして女性が男性の経験値を摂取する方法は、×××をすること。
男の価値基準はガラリと変わった。
イケメン? 金持ち? 高学歴?
否、経験値の多い男が、モテるのである!
そんな世界で俺の腕に浮かび上がった文字は……
『無』
あれ、もしかして、この世界で一番モテない男なのでは……?
今年は魅力的なヒロインたちが多数登場するハーレム作品が多い印象です。独自のアイデアと情熱に満ち溢れており楽しく拝読させていただきました。
数ある力作の中から、大賞には『美少女達が俺の身体(経験値)をやたらと求めてくる件について』を選出いたしました。
本作は、主人公に秘められた莫大な経験値欲しさに、あの手この手でヒロインに迫られ、ちょっとエッチなこと(健全)をしちゃうというエロラブコメディとなっております。途中までは楽しく笑えるお話として進行しますが、ヒロイン達が経験値を欲する理由として深刻な問題が描写され、主人公は自らの意思でヒロインを助けるためにエッチなこと(健全)に望みます。主人公がひたむきにヒロインを想い、主体的に動こうとする姿勢。「うらやましいぞ!」と思うと同時に「この優しさならば確かに好かれるな」という納得感もあり、読者の共感を呼ぶことでしょう。また内心はかなりドキドキしているというギャップも人として魅力的です。
ラブコメは読者に夢とときめきを与える、重要な役割を担っていると考えております。ヒロインに愛されることはもちろん大切ですが、それ以上に、主人公が読者からも応援され、憧れられるような姿を見せる作品が求められていくのではないでしょうか。
次回もときめくようなラブコメに出会えることを編集部一同楽しみにお待ちしております!
角川スニーカー文庫編集部
え、なに、俺って他国から狂乱のバーサーカーって呼ばれてたの?
一人で前線を止めていたヤマギシは上官から虚偽の報告をするなと詰め寄られる。実は他国から恐れられていたバーサーカーだった。
たった一人で前線を止めていたヤマギシは、突然現れた上官に「この嘘つき野郎が」と言われてしまう。
何の事だかわからないまま軍法会議に掛けられたあげく、でっち上げの殺人事件の濡れ衣まで着せられる。
しかしこれはすべて上官が仕組んだ罠だった。
「そうか、ならもう俺がここにいる理由はないな」
恩を仇で返されたヤマギシは逃亡。しかし上官たちは侮っていた。
嘘をついていた男を罠にかけようしていたのだが、なんと彼は本当に前線を一人で止めており、他国では狂乱のバーサーカーと恐れられる男だったからだ。
これは、他国からバーサーカーと恐れられていた男が、異世界で無双しつつ、ざまあしたりのんびり冒険者をしたりするお話です。
2025年冬 応募開始 予定
次回コンテストの開催情報は、秋頃を目処に本サイト上で順次お知らせします。
詳細はお知らせブログやカクヨム公式X(Twitter)をご確認ください。
「カクヨムコンテスト10」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
選 評
今回3回目となるライト文芸部門には、お仕事、あやかし、アジアン&西洋ファンタジー、オカルト、現代グルメ等、多岐に渡るジャンルの作品が集まりました。「一般文芸寄りで大人読者が楽しめる」ことを求める本部門では「本を読みなれている」読者を満足させられる筆力の高さが一番求められるかもしれません。
その中で、今回大賞に選出された『異能の姫は後宮の妖を祓う〜平安陰陽奇譚〜』は煌びやかな世界観と魅力あふれる人間関係を、高い筆力で描き出し、テンポよく読ませる作品でした。
主人公は中納言の二の姫・楓子。彼女は半年前に今上帝に入内した腹違いの妹姫に危機が迫っていることを知ります。そんな妹姫を救うため、楓子は陰陽師・賀茂利憲の手を借り、男装の陰陽生として宮中に潜入。妹姫の警護を任された左近少将・斉彬と、利憲と共に事件の謎に迫っていく、という物語です。
ミステリ軸も面白い本作ですが、楓子と優秀な二人の男性との三角関係は本作最大のときめきポイントです。その三角関係に、男装がばれてしまうかも、という古今東西で愛される設定も加えられている本作に魅力を感じ、今回大賞に推させていただきました。
数多くの物語が誕生し、存在する現代で、全く新しい物語を作り出すのは容易なことではありません。そんな中でも、普遍的に愛される王道的な要素を取り入れつつも、オリジナルな発想が光る面白い作品を、今後もお待ちしております。
角川文庫キャラクター文芸編集部