代々特別な能力を有するアヤカシの血を受け継ぐ家が現代にも存在する世界。
主人公はその能力を有する家に生まれたが、なにか特別な事情から母親と一緒に半ば幽閉状態で暮らしていた。
母が亡くなってからは、使用人よりも酷い扱いを受けながら、当主である父の世話役のような立場で自由を制限されていた。
彼女はただ、母が死に際に残した、蛇の名前と鈴が自分のことを助けにくる。という言葉だけは忘れることができなかった……。
屋敷での抑圧からの解放という、期待された展開の中で、自然に主人公と相手役が出会い、少しずつゆっくりと互いに歩みよっていく様子が魅力的でした。
不器用と不器用が交差していくので、ついつい応援したくなってしまうような二人でした。
また、アヤカシの能力を、こうもいやらしく利用するのかと感心してしまうほどに、能力を遺憾なく発揮して嫌がらせをするお屋敷での場面も、読んでいて、苦しくなるぐらいに上手でした。
実に続きが気になる作品でした!
素晴らしい作品をありがとうございました。