僕は、あやかしものを読むのが初めてで、どういう楽しみが待ち受けているのだろうかと不安半分、期待半分でこの物語を読み始めた。
そしてそれは杞憂だった。読んで一話目でその不安は消し飛ぶことになる。
主人公の剛厚は人食い鬼でありながらどこか良識のある性格の良い好漢で、彼が婿養子になった相手は、大柄な剛厚を怖がらず、むしろ手玉に取ってくれそうな姫、雪音さん。なんなら雪音さんは筋肉フェチ。
剛厚は、雪音さんを怖がらせないために鬼であることを隠すのだが、初見で雪音さんにバレるという始まり方で、めちゃくちゃほんわかするんですね。
新婚生活が始まり、二人は妖山の領主として領内の妖怪たちの悩みを聞いたり事件を解決しようと紛争するのですが、第一に読後感で挙げられるのが最後まで世界観にちゃんと浸り続けられたということでした。
おそらく、歴史書には載っていない日本の山奥の伝承であったかもしれないと思わせるような盤石な世界観の上に、剛厚と雪音さんの生活だったり妖怪の生き様がのっかっているのでしょう。
なので、最後まで安心して読み進められると思います。
読み終えて、お互いがお互いを思いあう夫婦の愛をまざまざと見せつけてくださったので、とても幸せな気分になれました。
是非、読んでみてください。
後、付け加えるならば、この話を読むと、冷やしたきゅうりが食べたくなります。
物語の舞台は戦国時代のとある島国の北方。
奥野という架空の国では、人間とあやかしが共存しています。
国主の末弟である剛厚(つよあつ)は身体が大きくも心はとても優しい人物なのですが、その正体は人食い鬼。
そんな剛厚はひょんなことから人間の姫、雪音と夫婦になり婿養子に入るのですが……。
この雪音さん、ただたおやかな美人妻というわけでもなさそうで……???
そう、まず雪音さんはとってもアクティブなのです!
慎ましい姫君に見えて、ものすごーくしっかりしているので、ちょっとした事件が起こってもまず自分で動いちゃう人!なので剛厚さんはドキドキハラハラの連続なのです!!
そもそも剛厚さんの正体は人食い鬼。鬼は人間を食う……のですが、この美味しそうな雪音さんを前に我慢をする剛厚さんはいつもお腹を空かせていることに……(苦笑)
そうとは知らない雪音さんはけっこうぐいぐいきちゃうタイプの女子。対する剛厚さんはというと……あれれ?思春期の男子かな??というくらいにウブなので、このふたり見ていて飽きません!
あやかしたちの住まう国ではたくさんの事件も起こります。
そして次々と登場する個性豊かなあやかしたちにも目が離せませんし、物語に関わってくる剛厚さんの兄弟たちにもぜひ注目していただきたいポイントです!
そして、タイトルの意味を知ったとき、もうきっとこの夫婦が大好きになっているはずです……!
人と妖が共存する島国。国主、狭瀬源太郎厚隆のは兄の命により、末弟である剛厚は、妖山領主に婿入りすることになる。しかし、剛厚は人食い鬼で――
婿入りした先の白澤家の姫、雪音。一目見た時から美味しそうでたまらない。剛厚は鬼であることを隠しながら、鬼の本能と戦い空腹に耐えながらの日々。
その姿は微笑ましいような、なんだかクスッと笑ってしまうような。
剛厚は人食い鬼というが、体は大きく頼り甲斐があり、心優しい姿。
雪音は大人しいかと思えば、事件が起きればいの一番に飛び出していくお転婆ぶり。
夫婦二人が揃うと、なんとも頼もしく思える。
そんな二人の夫婦として少しずつ寄り添っていく姿。そして奇妙な事件に、人と妖のあり方と。様々な観点から楽しめる物語です。
二人の結末も必見!オススメです。
鬼である剛厚と、肝が据わった姫である雪音が夫婦となったところから物語は始まります。
非常に不思議なのですが、強面で巨漢な鬼である剛厚が乙女に思えて仕方ありません!!
ダブルヒロインなのでしょうか?笑
そんな、奥手で愛いらしい夫と聡明で頼もしい妻。凸凹な二人の組み合わせが微笑ましいです。
二人は国で起こった異変を調査し、真実に辿り着きます。
タイトルである「あやかし化かし合い」
その意味を知ったとき、胸がぎゅっと切なくなりました。
人間として生まれたら人間として生きるように、あやかしとして生まれたらあやかしとして生きなければならない。本能に抗えない悲しみを感じます。
ですがこの物語には、人間なのに河童として生きる女性がいます!乗り越えられないことはない。人間が頭の上に皿を乗せているように見えても、「河童です!!」と言い切ってしまう強さ。彼女の生き方、言動は、もどかしさを抱えたあやかしの希望の光。ナイスなサブキャラです。
乙女な剛厚が物語の終盤に見せた漢気に惚れ惚れしました。
残酷な真実であっても、愛の前には些細なこと。
器の大きさと逞しい筋肉、妻を愛する心は無敵です!!
人食い鬼だけど人間のふりをしている剛厚。鬼が人間のふりをすると言うと相手を油断させて食べるためというのがよくある理由ですが、こちらの彼はそんなことはしません。
むしろ目の前に美味しそうな人間がいてもどうにか空腹をこらえ、自分の正体を明かすことで相手を怖がらせてしまうのではないかと心配する優しい性格です。
そんな彼が鬼であることを隠したままとある家に婿入りするのですが、この結婚相手の雪音にも隠し事がある様子。
お互いに何かしら隠し事があるからか、夫婦なのにこの二人は初々しい距離感のまま。少しずつ仲良くなっていくのですが、なんだかずっと可愛らしい。
彼らの周りにいるあやかし達も賑やかで、領主として地域で起こる問題を解決しつつ、楽しく過ごしていくのかな……と思いきや、何やら陰謀の匂いがし始めます。
一体彼らの周りで何が起こっているのか。そして雪音の隠し事とは何なのか――可愛いらしい夫婦の化かし合いを是非お楽しみください。
まず、夫がかわいいです。
マッチョでたくましいのに、中身は優しく、自分が鬼だから(鬼なのは秘密)新妻を殺して食べたくなってしまう欲求があって、それを一生懸命隠してます。
ぐーぐー、お腹が鳴っちゃう、かわいい男です。
それに対する、ヒロイン、雪音は、マッチョな男が好き。政治的な政略結婚ですが、にこにこ、好ましく旦那を見ています。
この二人、どうなる?!
それだけでなくて、どうやら領地をめぐって陰謀が……、川が干上がる、など、きなくさいのです。
舞台は和風ファンタジー。
あやかしと人が存在する世界。
そこで広げられるミステリと、ハラハラの展開も楽しめます。
すれ違いや、ばかしあいゆえの切なさも、たっぷり味わえ、綺麗な文章で読みやすく、おすすめですよ!
時は戦国。妖怪が人と共在する世界。
奥野国主の末弟、そして人食い鬼である剛厚は、白澤家の姫である雪音と夫婦になりました。
人を食う欲求に抗う純朴な鬼の夫、肝が据わり屈強な者を愛でる妻。政略結婚でありつつも二人の生活は和やかに始まりました。
化け狸。天狗。河童。友人である様々な妖怪達は賑やかに日常を彩り、徐々に初々しい二人の仲も深まっていきます。初々しい距離感はニヤニヤすること必至。
しかしそんな中にも事件が。
剛厚は領主として解決しようと奔走し、雪音もまた行動を起こします。
単なるお転婆でなく胆力があり頭の切れる雪音は大いに貢献しますが、更なる秘密もありました。
やがて領地を巡る大きな陰謀が明かされます。
その裏には人と妖怪の確執、妖怪の本能に根差した問題がありました。
領地の危機、夫婦の危機、それらを二人は乗り越えられるのか。
微笑ましく愛し合う二人の行く末を見届けてみませんか。
心優しく穏やかな気質の人食い鬼×強かでミステリアスな美女の夫婦が送る、あやかし盛りだくさんな歴史ファンタジーです。
舞台は人間とあやかしが共存する架空戦国時代。
奥野という国の国主の末弟である剛厚は、突然、当主が急逝してしまった白澤家の姫、雪音と夫婦になり婿養子に入ることになりました。
白澤家が領主となって治めていた妖山は、あやかしばかりが住まう土地。見た目も恐ろしい剛厚ならば、人間にもあやかしにも舐められることはないだろうと白羽の矢が立ったのです。
しかし剛厚は雪音と会うなり、鬼の本能である食欲と戦うことになります。腹の虫を鳴らしながらも、美しく芯が強い雪音に心惹かれる剛厚は、愛情と食欲の狭間で苦悩することになります。
そんな二人を襲う、あやかしたちが引き起こすトラブルの数々。
しかも、雪音さん自身も何やら秘密があるようで……?
まず、筋骨隆々とした鬼と華奢な美女の夫婦、という組み合わせがお好きな人も多いのではないでしょうか?
しかも外見のイメージに反して、剛厚さんは気が弱く雪音さんは豪胆です。トラブルとなると妙な行動力を発揮する雪音さんに、剛厚さんが振り回されているように見えるのも、またギャップがあって微笑ましいです。
そして、脇を彩る様々なあやかしの皆様も個性的。妖狸や河童、天狗などお馴染みの妖怪が、賑やかに物語を盛り上げてくれます。
徐々に広がっていく争いの種と予想外の黒幕、そして雪音さんの「秘密」によって夫婦にピンチが訪れますが……!
どうなるかは是非本編にてお確かめください。
訳あり夫婦のちょっと危うい愛情と楽しいあやかしたちの掛け合いが楽しめる歴史風ファンタジーです。
さあ、あなたも「化かされ」にいらしてください!
時は戦国時代。
妖山の領主である白澤家当主が、後継者を指名せずに死んだ。残るは未婚の姫のみ。
そこで選ばれたのが、国主の異母弟である剛厚(つよあつ)。彼は雪音姫を娶り、妖山の領主となることに。
「いや、しかし人間の妻など、可哀想です。我らは人食い鬼なのですぞ」
そう、国主たちは妖、それも人食い鬼なのだった。
『あやかし三箇条』で生きた人間は殺して食ってはいけないと取り決めているものの、理性が本能を抑えられるかはまた別だ。
ところが、その人間の妻というのも中々の曲者。妖がたむろう山で育った雪音姫は、剛厚を見て、
「最高ですわ」
「何て可愛らしいのでしょう」
と心中で呟くのであった。
しかし、雪音の心の底には、ある諦観があった。
ところで、剛厚には兄が二人いるが、少し確執がある。
国主である長兄とは母親同士がいがみ合い、次兄は母親が失踪したことで人食い鬼の血を憎んでいた。
一方であやかしが人間の子を育て、自身をあやかしだと定めたものもいる。
違う種がよき隣人として接する世の中でも、絶えず憎しみをいだく個としての存在。
弱き者でありながら、強き者の領分から搾取していく人間。あやかしとして人間に干渉されないよう、そして『あやかし三箇条』を破棄して生きたい者。
そんな中で、剛厚と雪音が、愛し愛される関係を築くことはできるのか。
人間とあやかしが共存する戦国時代。
人食い鬼が人間の嫁をとり、妖山の領主になるところから始まるこのお話。
なんといっても鬼の剛厚と人間の雪音の組み合わせが最高に萌えるのです!
巨漢。笑っても猛獣のように見えると言われたことすらある剛厚は、実は性根は善良、野心はありません。妻を食ってしまうことを怖れる心優しい鬼です。
対する幸音は、あやかしに偏見なく馴染み、あやかしの友人もいる肝の据わった人間。領民思いで行動力もあり、上記のような夫を可愛らしいと愛でるタイプ!
この二人の体格差、性格の組み合わせがもう堪りません! 夫婦で推したい所存です。
概要にあるように、まさに『食欲と愛情の間』。
二人の関係性の発展が、実に楽しみなお話です。
お薦めします(^^)!