異世界を車で爆走する。
こんな魅力な題材、惹かれないわけがない。
「星を探して」という声でこの物語は始まりを告げる。
眠りから覚めた佐々木将吾は突然の異世界を前に困惑する。そうして最初に出会う少年、ホー、そして言葉を話すことの出来る猫、ルナと共に行動することから始まるのだ。
なんと魅力的な始まりだろう。主人公の気怠い雰囲気が良い味を出している。そこに幼い子供と猫というアンバランスな組み合わせが良い意味で際立つのだ。
彼らは魔女の箱庭という、大昔の魔女が作り出した遊戯盤をクリアしなければならない。つまりはゲームをクリアする物語であるのだが、説明が巧みと感じた。
例えば、エルフやオークなど、一部の人にとっては有名なものを、会話の中でさらり、と説明してくれるのだ。それはゲームのルールも同様に。
その為、詳しくない人でも世界観を堪能することが出来る。
作中、目を輝かせるルナのように私も目を輝かせながら世界観を堪能することが出来た。
また、共に行動するのはホーとルナだけではない。アスカという女性とも出会い、物語は進む。
この物語は、やはり、車だ。
異世界をどこまでもどこまでも車で駆ける。
こんな魅力的な題材があろうか。
車の中から見る景色、彼らのやり取りを是非、堪能してもらいたい。
車と共に繰り広げられる戦闘は息を呑むほどにかっこよく、そして車の中でのやり取りはずっと見ていたいと思わされるほどに心地が良い。
異世界を車で爆走する物語。
どこか懐かしさを覚えるような、それでいてわくわくするような物語を是非、堪能して欲しい。
そうして彼らが、ゲームをクリア出来るのか、是非、見守りながら読んで欲しい。
私は今も車に乗り、異世界を爆走する彼らの笑顔が浮かぶ。